オーバランダーに出来る事
Col de Belkassem(コール・ベルカッセム)越えを徒歩で体験し、本日は近くのオアシスで早めのキャンプ地設営。
誰もいない荒野の真ん中のオアシスに2台だけで来たはずなのに。。。
いつの間にかテントに横におじさんが!しかも寝ている!!!影になっていますが、白いシーツの後ろオジさんが寝てるのわかりますか?
「物乞いの人よ。特に害はないから放っておくのが一番よ。」とマリちゃんは言いますが・・・
この距離感で居座り、物を貰うまでふてぶてしく寝て待つようなオジさん、見た事ない!!
「日本には居ないの?」とマリちゃん。
「お家のない人はいますが、『物をくれ』という人はいないよ。」と言うと、
ドミニクさん『It's Morokko!!』と笑い飛ばしてくれました。
実は今日、ここに来るまでのオフロードでは、何人かのこういう方に遭遇しました。
川を渡るため道を検討していると、いつの間にか川向こうにオジさんが現れ。。。
川を渡りきったディフェンダーに「手が痛い。何か薬はないか。」と薬をおねだり。
こういう人は、ちゃんとナンバーの【F】の文字を見ていて、フランス語の通じるディフェンダーの方に寄っていきます。
優しいマリちゃんは元看護婦さん。おじさんの手に薬をぬってあげて、その薬をあげてしましました。
正直…カメが見たところ、手にはタコが出来ていて、少し乾燥していただけ。。。
「お金はあげれないけど、薬なら。。。」といった感じでした。
おじさんの件が片付き振り返ると、今度は子供を連れたお父さんが佇んでいます。。。。
特に何だかんだ言うわけでもなく…何かくれれば良いかなオーラ全開。本当に困ったもんです。
マリーちゃんはこんな時も優しく小さな男の子にブルーのNOKIAの帽子をプレゼント。
そうか!!おまけで貰った、使えない販促グッツだ!!
写真右の女の子、靴を履いていないのお分かりでしょうか?流石に子供用の靴までもっていません。
この場はさよならです。。。
この日の夕方、テント内で何やら荷物の整理を始めたマリちゃん。「マリちゃん、何しているの?」
「これはね、孫たちが大きくなって使わなくなったオモチャや本よ。本当に貧しい子に持っていくのよ?」
「本当に貧しい子?って??」
「この先、山岳地帯の村を通ると、車にむかって『Give me デルハム!!(お金)』『Give me ボンボン!!(キャンデー)』と走ってくる子供達に沢山遭遇すると思うわ。でも、そういう子供には何もあげてはいけないのよ。親に命令されてやって来ている子供達だから。」
「確かに、さっきの村でもいきなり子供達が飛び出してきてびっくりした!」
「旅行者達が小銭を車の窓から投げたり、安易にお菓子をあげたりするから、石を投げたりする悪い子供が増えているの。以前見た子は、走りながら靴を脱いで『靴がないから金をくれ!』と言ってきたのよ。」
「本当に貧しい子供は、親の手伝いをしなければならないから走って来れない。そういう子に道で出会ったら、このプレゼントをあげるの。
そして、小さな村の小さな学校には、この本を届けるのよ。」
「そうか!フランス語が読めるモロッコだから、フランスの本をあげることが出来るんだ!!」
実はマリちゃんのお家で荷物の整理をしていた時、着なくなったカメの服を捨てようとしていたら、
「モロッコに持っていくから、捨てないで!」と言われたのは、この事だったんですね~。
「アフリカには、世界中から恵まれない人へ物資や古着が送られてきているけど、その殆どは貧しい人には届かず市場並んでしまうの。
貧しい人たちは、そこでお金を出してそれらを買うのが現実なのよ。だから、私たちは直接届けるのよ。」
そうだったのか。。。《世界を車で回っているからこそ出来る事がある!》って事を知り、
オーバーランダーの本当の優しさと、その意味を改めて考える夜になりました。
【Bouanane → Col de Belkassem(コール・ベルカッセム) 走行距離72キロ】